水槽内で観察されたヒメイカの繁殖行動
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概要
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水槽内でヒメイカIdiosepius paradoxusの繁殖行動を観察した。交接は非産卵時だけでなく産卵時にも観察された。非産卵時の交接は頻繁に行われた。オスはメスに近づき, すばやくメスの腕基部をつかみ, 生殖腕(左第4腕)を用いて精莢をメスに付着させた。交接の前にオスのメスに対する求愛は無く, 交接時間は短く5秒以内であった。交接後, メスが頭, 首および腕について精莢を口器を用いてついばむのが観察された。産卵はメスが水槽内のアマモ葉体に背中の粘着器官で張り付いて行い, 漏斗から出した卵を一つづつ腕で抱え込み, 腕全体を用いてアマモ表面に押しつけ付着させた。また, 観察を行ったすべての産卵において, 産卵中のメスにオスが交接を行うのが観察された。オスは産卵中のメスに近づき, メスの腕基部にしがみつき, 卵が送り込まれてくるメスの腕の中に精莢をつかんだ生殖腕を挿入した。メスの産卵時の交接には複数のオスが参加する場合が多く, メスを取り囲むように集まってくる。しかしオス同士の闘争行動や優先的なオスの存在は確認されなかった。
- 2000-03-31
著者
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