摂食障害の治療経過に影響をおよぼす諸因子の検討 : 病型および家族面接との関連を中心に
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概要
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摂食障害の治療を困難とする理由の一つに,治療を中断する症例が多いことがあげられるが,その要因を詳細に検討した報告は少ない.本研究では摂食障害症例74例を診断基準(DSM-ⅠⅠⅠ-R)に従って,Anorexianervosa(AN)群とBulimianervosa(BN)群に分け,それぞれの臨床的特徴を明らかにした上で,治療の導入,継続を困難とする要因および初期治療について検討した.AN群では発症年齢が低く,治療意欲が乏しいにも関わらず治療が継続している症例が多く,逆に,BN群では発症年齢は高く,治療意欲をもって受診しながらも,治療が中断する症例が多いという結果であった.かかる結果には,発症年齢,性格傾向,家族の治療に対する姿勢等が影響していることが示唆された.摂食障害の治療では,治療の中断を防ぐためにも,家族療法的なアプローチが重要であるが,それには,家族の背景を十分に考慮した導入が必要であると考えられた.
- 弘前大学の論文