Parkinson病の精神症状について
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概要
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Parkinson病40例の病歴学的研究により、精神症状を検討した. 34例において、経過中に精神症状がみられた. 20例では抗Parkinson(以下抗パ)剤投与前にもみられ、その症状は記憶・記銘力障害・抑うつ状態, 神経症状態, 性格変化, 幻覚などであった. 抗パ剤で治療し経過観察された24例では全員に, せん妄, 痴呆, 幻覚, 妄想, 抑うつ, 不安, 焦燥, 神経症状態, 軽躁状態, 過食, 性的行動異常, 多幸, 反社会的行動などのいずれかがみられた.Parkinson病の経過中にみられた上記精神症状は次の3群に分けられた. すなわち, (1)心理的要因に基づいて生じた神経症状態や抑うつ状態など, (2)痴呆, (3)抗パ剤による中毒性精神症状である.したがって, Parkinson病患者の治療に際しては, 心理的, 環境的因子を十分に考慮する必要性があることを述べた.くわえて, 痴呆を伴った2例の剖検例を報告し, Parkinson病の痴呆の発生病理における大脳皮質病変の役割についても呈示した.
- 弘前大学の論文