飼育下でのイボニシ二型の成長と餌選択性
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概要
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イボニシには形態的, 生態的に異なる二型(C型とP型)が知られている。C型はP型に比べ, より大型化する。また, P型はサイズに関らずイワフジツボを専食しているが, C型は成長に伴いイワフジツボ専食から, クロフジツボなどの大型の餌へと食性の幅が広がる。こうした成長や餌選択性の違いが遺伝的な違いに基づくものか確かめるため, 野外で同一の食性を持つと考えられるC型とP型の小型個体を室内でいくつかの餌条件で10ヶ月間飼育し, その間の成長と飼育後の餌選択性を調べた。その結果, 飼育下での成長と摂食速度は, 与えた餌種に関らず, P型よりC型の方が大きかった。また, 飼育後に行った餌選択実験では, 特定の餌で飼育した個体が, C型とP型のどちらの型でも, 他の餌で飼育した個体よりもその餌をより多く選択する傾向が見られたが, 野外と同様にP型は常にC型よりもイワフジツボをより強く好んだ。したがって, 二型間でのサイズや餌選択性の違いは二型間の何等かの遺伝的な違いを反映していると思われる。
- 日本貝類学会の論文
- 1994-08-31
著者
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