陸生有肺類の行動解発に関する電気生理学的検討
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概要
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本報告は, 陸生有肺類の行動解発機構を探る基礎的な研究として, アフリカマイマイAchatina fulica (Ferussac)を用いて, 体液浸透圧の変化に伴う神経系の挙動を電気生理学的に調べたものである。1 : 中枢神経系における脳・足・側・内臓・壁等の各神経節の表層部に分布する大型の神経細胞のいくつかを, それらの位置や大きさ, 色などに加え, 細胞内記録による電気的活性の特徴から同定を試みた。2 : 各神経節には, スパイク性神経細胞と非スパイク性神経細胞が認められたが, スパイク性神経細胞の場合その発射様式にはパターン化したものが多くみられた。3 : 遊離した各神経節で同定したさまざまな神経細胞を用い, 灌流した外液の濃度の変化に伴う電気的活性の挙動をみた結果, すべての神経細胞は高張液中で興奮し, 低張液中で抑制される傾向が示された。4 : 壁神経節のright-Parietal-1神経細胞においては, 浸透圧受容部位のある脳神経節のついたインタクトな状態で外液濃度を変化させた場合, 遊離した場合とは異なり, 低張で活性化し高張化するにつれて不活性化する傾向が示された。5 : これらの結果は, 脳の浸透圧受容部位で体液浸透圧の変動が受容され, その支配下にある神経細胞は, 体液浸透圧が低張化するにつれて活性化し, 高張化するにつれて不活性化して行動の解発に関与することを示すものと考えられる。
- 日本貝類学会の論文
- 1984-12-31
著者
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