地中海北西域で採集されたイチレツダコ (Eledone cirrhosa) の産卵中雌の胃中から出た卵嚢について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者は, 地中海北西部, リヨン湾(フランス)で1978年6月から1979年8月までの間, 採集されたジャコウダコ科の一種イチレツダコEledone cirrhosa, 1330個体(雄404個体, 雌926個体)の胃内容物調査を行なった。その中で, 輸卵管中に卵の充満した産卵中と思われる雌, 3個体の胃からそれぞれ1∿数個のEledone cirrhosaの卵嚢が観察された。交接後(輸卵管中に卵のまだ存在しない個体)の雌4個体を含めた他の観察個体からは, この卵嚢はみられなかった。この事は, 産卵中の雌が自身の産んだ卵を摂取する事を示唆する。同様の報告は, Mangold et al.(1971)によって飼育水槽内で産卵中のEledone cirrhosaについてなされており, 今回の観察は, 自然環境下においてもこの行動がみられる事を裏づけるものである。また, 同様な観察は, 現在までに明らかにされていない同種の産卵場の推定に関する情報としても興味深いものと思い, ここに報告する。
- 日本貝類学会の論文
- 1984-07-15
著者
-
守安 実己郎
Laboratoire D'hydrobiologie Marine Universite Des Sciences Et Techniques Du Languedoc Montpelli
-
守安 実己郎
Marine Biology Research Centre