日本産アワビ類数種の原殻の形態に基づく幼生および初期稚貝の同定
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概要
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日本産アワビ類の中の4種・1亜種(トコブシHaliotis diversicolor aquatilis・クロアワビH. discus discus・エゾアワビH. discus hannai・メガイアワビH. gigantea・マダカアワビH. madaka)の後期被面子幼生を用いて, 原殻の測定と走査型電子顕微鏡(SEM)によるその表面彫刻の観察を行なった。原殻はトコブシ・エゾアワビ・メガイアワビ・クロアワビ・マダカアワビの順で大きくなり, そのうちクロアワビとメガイアワビとの大きさの違いだけが有意でなかった。また原殻の形はトコブシが若干細長い傾向を示すものの種類による差はほとんどなかった。原殻の表面凸部の模様は全種類ともに非常に類似しており, 各々の種類に特有なものがほとんど認められなかった。しかし被写界深度の大きなSEMによる全体と特定部分の比較観察によって種類ごとに彫刻の密度や大きさ等の違いがあることが明らかとなった。これら原殻の大きさとSEMによる観察の結果から, 被面子期から稚貝期に至るまでのアワビ類が同定し得る可能性を考察し, 海産腹足類研究におけるSEMの利用とその観察結果の蓄積の必要性を述べた。
- 1983-06-30
著者
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