イタボガキとクロヒメガキの筋肉蛋白電気泳動による比較
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概要
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クロヒメガキOstrea futamiensis SEKI, 1929は兵庫県二見海岸を模式産地として記載された小型のカキで, イタボガキ属の一員である。しかし最近このカキはイタボガキの生態型であるとの見解が示され論議をよんでいる。著者らはこの問題を解明するには蛋白質の電気泳動分析も有効ではないかと考え, イタボガキとクロヒメガキの閉殻筋半透明部の抽出蛋白をディスク電気泳動により分析比較したところ明らかに両者で異なる泳動像を得た。両者の特異的な分画のRf値(BPBの泳動距離と各バンドとの百分比)は, イタボガキではRf0.62(全蛋白量の16.8%), クロヒメガキではRf0.47(同じく19.4%)であった。このような電気泳動の結果と, 幼生ならびに成殻の特徴を考えあわせると, クロヒメガキとイタボガキとは別の種であることは明らかであろう。
- 日本貝類学会の論文
- 1975-09-30
著者
-
鳥越 兼治
広島大・学校教育
-
鳥越 兼治
広島大学学校教育学部生物学研究室
-
鳥越 兼治
広島大学向島臨海実験所
-
稲葉 明彦
広島大学向島臨海実験所
-
稲葉 明彦
広島大学理学部附属臨海実験所
-
稲葉 明彦
広大・臨海
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