マウスにおけるアルギニン・バソトシンレセプターの同定と分布(解剖学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ノナペプチドホルモンであるアルギニンバソプレシン(AVP),オキシトシン(OT)に類似したアルギニンバソトシン(AVT)が哺乳類において睡眠物質として働くという報告がされている.AVPとOTの受容体は哺乳類において多くの報告があるがAVTの受容体は下等脊椎動物で同定されているものの哺乳類では現在のところ,報告がない.マウスのゲノムデータベースをもとにした配列分析により,真骨魚のAVT受容体の配列に類似した一つのゲノム配列(GenBank:AK033957)を見つけ,それをマウスバソトシンレセプター(MVTR)と名付けた.MVTRを同定する為にMVTRを膜上に発現させたアフリカツメガエル卵母細胞においてtwo-electrodesボルテージクランプ法を用い活性を測定した.受容体を発現した卵母細胞においてAVTは膜に電位変化を起こした.一方,AVPとOTは有意なシグナルを引き起こす事はなかった.RT-PCRによる分析によりMVTRのmRNAは脳内にある事が判明した.さらにin situ hybridizationによる分析によりMVTRのmRNAは視交叉上核,弓状核,手綱核で発現している事が観察された.これらの部位は睡眠や覚醒,繁殖行動に関与する事が知られており,マウスにおいてAVTはMVTRを介して睡眠,繁殖といった様々な生理学的機能に関与する可能性を示唆するものである.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2006-07-25
著者
-
萬場 光一
山口大学農学部家畜解剖学教室
-
山本 芳実
山口大学農学部獣医学科
-
臼井 優
山口大学農学部獣医学科
-
青島 均
山口大学・理学部自然情報科学科
-
LUZIGA Claudius
山口大学農学部獣医学科
-
萬場 光一
山口大学農学部獣医学科
-
青島 均
山口大学・教養部
関連論文
- 猫白血球由来5アミノ酸残基欠失肝細胞増殖因子cDNAの単離および発現
- 亜鉛欠乏の妊娠ラット肝臓における定量的および形態学的研究
- マウスにおけるアルギニン・バソトシンレセプターの同定と分布(解剖学)
- ラット肝細胞で免疫されたマウスにおける遅延型過敏反応のフローサイトメーターによる解析および免疫組織化学的検索
- 凍結保護剤の血管灌流によるラット卵巣の凍結保存の試み
- ラット卵巣の凍結保存 : 凍結保護剤の強制浸透の効果
- 犬のB細胞白血病由来株化細胞の樹立およびその性状
- PMSG投与ラットの排卵性LH分泌量の測定および卵胞閉鎖に及ぼす微量hCGの影響
- ラット分離膵島のサイズ別における耐凍能の変化
- ラット胃潰瘍組織における亜鉛製剤の付着浸透性
- ハムスターの短期亜鉛欠乏による微量元素の動態と肝臓の形態学的変化
- アセチルコリンレセプタ-によるイオンの透過