カワニナ類の生態に關する若干の知見 (3)
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概要
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1. 本報文はカワニナMelanoides (Semisulcospira) libertinus (GOULD), ミスヂカワニナM. (S.) lib. japonicus (REEVE)及びヤマトカワニナM. (S.) niponicus (SMITH)の生態に關し, 1934-36年に亙つて行つた観察及び實驗の報告である.2. カワニナ及びミスヂカワニナの食性は雜食性(omniphagous)であるが, ヤマトカワニナは食植性(phytophagous)である.3. カワニナ類は雌雄異體, 卵胎生で, 幼貝産出は1年を通じて中止しないが, 晩春初夏の候が最盛である.4. ヤマトカワニナの活動力は水温に支配される.活動力の指標として10分間の歩行距離を取りこれを縦軸(y軸)とし, 水温を横軸(x軸)としてgraphを描くとこの兩者の關係は15℃にて交る3直線, y=1.4x-5及びy=1.05x+0.05によつて表はされる.5. 大津臨湖實驗所附近のヤマトカワニナの分布は水の動搖と湖底の状態によつて左右される.即ちこの貝は春から秋迄の活動力旺盛の時には湖岸の底が岩石塊よりなる所に多い.そして波浪の影響による水の動搖の少ない所とか, 湖底が泥土や表面の滑らかな小石よりなる所とか, 又藻類や水生顯花植物等の繁茂著しい所には一般に棲息しない.冬季には反對に水の動搖しない静かな所に好んで棲む.但しこの場合にも湖底が泥土等よりなる所には棲まない.6. カワニナ及びミスヂカワニナは春から秋迄の活動力旺盛の時期には陽性趨流性を示し, 冬には陰性となる.このことは實驗室でも自然状態でも認められる.又流水を感ずる感覺器としては觸角も重要であるが, 其の外に別の感覺器がある様に思はれる.7. カワニナ及びミスヂカワニナの流水中に於ける殼の方向(定位)は流速によつて異る.0.15m/sec.の所では全く流れに關せず位置するも0.75m/sec.の所では全部上流に向ひ, 且つ大部分流れに正しく平行して位置する.8. カワニナ及びミスヂカワニナの移動速度は1日約5-7m, ヤマトカワニナは1日約3mである.9. カワニナ類の實驗に際しては容器材料の選擇と, 使用水質に注意を要する.
- 1936-12-28
著者
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森 主一
京都帝國大學理學部動物學教室
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森 主一
京都大學理學部動物學教室
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森 主一
Zoological Institute Kyoto Imperial University
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森 主一
京都大学
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森 主一
Zoological Laboratory Kyoto Imperial University
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