渦まわりに現れる環状渦対

概要

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自然界の粘性渦まわりに,回転円柱まわりに現れるのと同じような環状渦対が軸方向に規則的に現れるかどうか確かめた.具体的には,小水槽内で,直径20mm程度の円盤に小羽根を取り付けた2つの回転子を,100mm程度離して向き合って回転させ,回転子間に直線渦を発生させた.実験は可視化技術を用いて行われた.直線渦まわりの流れ模様を見ると,渦発生の初期の段階で,渦の表面を取り巻くように瘤状の膨らみが現れるのが観察された.瘤は渦軸方向に規則的に現れていた.時間経過と共に瘤が成長して,回転円柱まわりに現れるのと同じように,環状渦対が渦を取り巻くように,また,渦軸方向に規則的に発生するのが観察された.環状渦対が発生すると,間もなく,直線渦は大きくうねり崩壊した.崩壊後,再び直線渦が現れ,上記の過程を繰り返すのが観察された.次に,この直線渦がどの様な特徴を持っているか確かめられた.その結果,直線渦の中心付近の速度分布と渦度分布が粘性渦で近似できることが分かった.その外周の周速度は,V〜1/r^n(n>1)で表されることが分かった.結果として,直線渦の外周で,遠心力不安定によって環状渦対が現れたと考えられる.
日本流体力学会の論文
2006-04-25