減損処理と土地再評価 : 減損会計導入をめぐって(<特集>21世紀の人の移動と人間環境 (1))
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概要
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2005年度の減損会計の強制適用を寸前に控え、さまざまな議論がなされている。減損とは資産の収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損会計とはその収益性の低下した資産について、回収不能部分を帳簿価格より減額する会計処理を意味している。この減損会計導入の背景には、過大設備投資などの影響によって乖離した写像と実像を一致させる、すなわち含み益・含み損を前提とした企業経営から脱却し、財務諸表の透明性を高めるという意図がある。この減損会計には、事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないという重要な役割がある。この減損会計の導入を控えすでに、土地再評価法などの準備が整えられてきた。その後、強制適用時期の延期論が急浮上し、これについては、与党金融政策プロジェクト・チームの要請による企業会計基準委員会のテーマとして「緊急検討」が重ねられた。一連の議論の結果、市場関係者等の信用を失ってでも強制適用延期すべきという十分な理由はないとの見解が採られた。多くの議論の対象である減損会計は、これから企業の効率性を判断するためにも重要な役割を果たさねばならない。
- 2003-10-30