<原著>うつ病患者の回復過程における改善の認識
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
"本研究は,うつ病患者に面接調査し,従来の研究にはなかった患者の観点からうつ病患者の回復体験を捉える記述研究である.うつ病患者が入院・療養し退院するまでの期間において改善したと認識した状態について,Grounded Theory Approachを用いて,12名のうつ病患者の回復プロセスを明らかにした.対象者は,男性4名,女性8名で,平均年齢51.6歳(範囲28±72歳)であった.うつ病患者の回復過程において,発病により枯渇した《エネルギーが充足》していく時に,患者は改善したと認識していた.《エネルギーの充足》プロセスには,ネガティブ思考からの〔開き直り〕,〔治りたい〕意志の出現,試行錯誤して行動する〔案ずるより産むが易し〕,症状の改善に伴う〔生活の拡大〕,生き生きとした〔感情と感覚の蘇り〕の5つの段階が存在した.この段階を促進していく要素として,〔抗うつ薬の効果〕,〔症状の改善〕,〔主体性の回復〕の3つが関連していた.これらはうつ病の代表的な徴候および症状であり,医療者が治療の効果を観察する項目である.以上のことより,うつ病患者の看護においては,従来観察していたうつ病の症状や徴候を観察するだけでなく,患者自身が自己の改善を今どのように捉えているかを把握することが重要であることが判明した.また,療養過程の初期では,意欲や思考障害の状態に重点をおき,後半では,行動面に重点をおいた観察と働きかけに意義があることが示唆された."
著者
関連論文
- うつ病患者の回復過程における改善の認識
- 看護学生の共感性と精神障害者に対する社会的距離--実習経験者と未経験者の比較
- 血圧測定技術を構成する下位スキルの検討
- 精神科閉鎖病棟実習における学生の不安と目標到達度及び学習満足度との関連
- うつ病で精神科に入院した患者の回復に役立つ看護の認識
- P-055 母親の妊娠時から産後1ヵ月時におけるSOCの推移と精神状態の関連(Group59 産褥,ポスターセッション,第51回日本母性衛生学会総会)
- 看護学生の精神障害者への偏見に関する研究--偏見と対人不安の関連
- P-056 母親の妊娠後半期SOCと産後うつ傾向の関連(Group59 産褥,ポスターセッション,第51回日本母性衛生学会総会)
- 精神看護実習における学生企画レクリエーションの学習到達度
- 看護学生のシャイネス傾向の特徴
- 産後の母親に対する24時間電話相談の利用状況と課題
- P-147 妻が妊娠期における夫の精神的揺らぎ(Group63 母性・父性,ポスターセッション,第50回日本母性衛生学会総会)
- 269 産後1年間の母親の生活ストレスと精神状態の関連(Group44 産褥7,一般演題ポスター,第48回日本母性衛生学会総会)
- 産後1か月間の母親の対児愛着と精神状態
- 看護学生の実習不安と懇話会の意義
- 母親の対児愛着感情の分析--退院時・1か月時の産褥早期における調査
- 片側人工股関節全置換術を受けた患者の生活体験 : 手術前後の変化に焦点をあてた質的分析
- 産褥早期の母親の精神状態に関する一考察 : EPDSを用いた退院時・1ケ月後の調査結果の検討
- 産褥早期の母親の対児愛着と精神状態の関連--愛着評価票と日本版エジンバラ産後うつ病質問票を用いた調査結果の一考察
- 糖尿病患者の飲酒に対する気持・思いおよび飲酒行動の検討
- 変形性股関節症で人工股関節全置換術を受けた患者の回復体験--術後年数別による様相について
- 看護学生が期待する指導者像--教員と臨床指導者の比較
- 1日の閉鎖病棟実習における入院環境及び患者理解の特徴
- 精神科看護職の統合失調症患者に対する偏見と専門的学習との関連