ラット臼歯歯周組織におよぼす咬合機能喪失と回復の影響 : 病理組織学的および組織計量学的検討
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概要
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本研究は,咬合機能の喪失とその回復が歯周組織におよぽす影響を検討するために,実験的にラットを用いて為された。咬合機能喪失群は,上顎左側臼歯歯冠を削除し下顎との対合関係を喪失させ,歯冠修復群は,削除21日後に同部の歯冠修復を行った。対照群は無処置のラットを用い,3群とも採取した下顎左側第1臼歯の歯周組織を病理組織学的および組織計量学的に経時的に検索した。咬合機能の喪失により,歯根膜には速やかに萎縮性変化が発現し,2〜3日後には歯根膜線維の機能的配列はほとんど消失した。一方,歯槽骨には著しい骨の新生がみられ,4〜5日後には歯根膜腔は対照群の約1/2まで狭窄し,21日後には正常の機能構造はほとんど失われた。歯冠修復群においては1〜2日後から多数の破骨細胞による骨吸収像がみられた。骨の吸収は骨髄側から歯根膜側へ進展する傾向を示し,歯根膜腔の比較的緩徐な拡大がみられた。歯冠修復後間もなく,歯根膜には線維芽細胞の増加と線維の新生がみられた。咬合機能回復後の修復の過程は,比較的緩徐に進展するが,28日後には歯周組織の機能的構造がほとんど修復された。咬合機能の変化に対して,歯周組織は速やかに反応することが明らかになった。歯根膜の線維芽細胞,骨芽細胞,破骨細胞,セメント芽細胞はそれぞれ異なった反応様式を示すが,各細胞とも咬合機能喪失と回復の過程の中で重要な役割を演じていることが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1996-03-28
著者
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