ラットの外傷性咬合による歯槽骨の吸収におよぼすアスピリンの影響

概要

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本研究では,ラットの外傷性咬合による歯槽骨の吸収におよぼすアスピリンの影響を検索した。実験動物を4群に分け,A群は無処置とした。B群にはアスピリンを投与し,また,C群には外傷性咬合を与えた。D群ではC群の動物と同様の外傷性咬合に加えて,アスピリンを投与した。各群の動物は実験開始から8過後に屠殺して,歯周組織を組織学的および組織形態計測学的に検索した。組織学的には,A群では特に変化は認められなかった。B群ではA群とほぼ同じような所見がみられた。C群では象牙質やセメント質の吸収窩がセメント質によって修復されているのがみられた。歯根膜線維の配列は乱れていた。また,歯槽骨には減少が認められた。D群でも象牙質,セメント質,歯根膜線維にはC群とほぼ同様の所見がみられた。また,歯槽骨には減少が認められたが,C群よりもその程度は弱かった。組織形態計測学的には,A群やB群と比較して,C群やD群の歯槽骨の骨密度は有意(P<0.01)に減少していた。また,C群と比べて,D群の歯槽骨の骨密度の減少は有意(P<0.01)に少なかった。本実験の結果から,アスピリンは外傷性咬合による歯槽骨の吸収を抑制することが示唆された。
1993-09-28