歯肉剥離掻爬手術後の新付着に関する研究 : 脱灰掻爬セメント質に対する歯肉付着について
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概要
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近年,露出セメント質深層へのエンドトキシン浸透の疑問視や深層セメント質は形態的にはほとんど変化していないことなどから,歯周疾患歯セメント質の取り扱いに再検討の機運がみられる。そこで本研究では,歯肉剥離掻爬手術後の新生歯肉に対して,より為害性のない適切な根面を提供するため,セメント質は表層だけの掻爬にとどめ,その後クエン酸を塗布した根面状況に対する歯肉付着様式を組織学的に検索した。実験動物には雑種成犬15頭を用い,術後1,2,3週に光顕的,電顕的に観察した。その結果,クエン酸塗布例では,付着上皮の下方増殖はほとんど認められなかった。脱灰セメント質には,細胞が密に平行に配列していたが,脱灰セメント質線維と細胞間には,新生コラーゲン線維の形成がみられ,さらに,新生コラーゲン線維と脱灰セメント質コラーゲン線維とのinterdigitationが認められた。これらの所見より,セメント質表層を掻爬後,クエン酸塗布を施した根面処理法によって,線維性付着を早期に確立するためのより適切な根面状況が得られることが示された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1989-12-28
著者
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