ラット歯周組織の初期病変に対する免疫グロブリン投与の影響

概要

論文の詳細を見る
本研究は,ラット免疫グロブリンをラットの尾静脈より大量注入した際,局所の炎症歯肉がどのように修飾されるかを検討する目的で行った。wistar系ラット20匹を,28日齢で離乳後,屠殺時の112日齢までKeyes diet 2000で飼育した。実験群ラットは,84,109日齢時にラットγ-グロブリンを1回50mgずつ合計100mgを尾静脈より注入し,対照群は同時期にリン酸緩衝液を同量注入した。109,112日齢時に血清並びに唾液を採取し,屠殺後片顎はH-E染色による近遠心的切片標本を,他の片顎から乾燥顎骨を作製した。血清及び唾液の免疫グロブリン量はSRID法または免疫電気泳動法にて,血清抗ラットプラーク抗体価は,受身赤血球凝集試験にて測定した。歯間部歯肉の上皮ならびに結合組織中の多形核白血球数と結合組織内細胞浸潤部の面積を計測した。乾燥顎骨にて,CEJから歯槽骨頂までの距離を測定した。その結果,実験群ラットの血清IgG,IgM値は,対照群に比べて2倍から3倍と有意に高かった。多形核白血球数及び細胞浸潤面積は,実験群でやや減少する傾向がみられた。抗プラーク抗体価と多形核白血球数との間には,有意な負の相関関係が認められた。以上の所見から,大量のγ-グロブリン投与は,ラットの初期歯肉炎の進展に対して,わずかに抑制効果をもたらすことが示唆された。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1984-12-28

ラット歯周組織の初期病変に対する免疫グロブリン投与の影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク