スパイか,巡礼か? : ヤン・ファン・エイクの「秘密の旅行」とその芸術的意味
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概要
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はじめに ヨーロッパ中世未の大画家ヤン・フアン・エイクは,ブルゴーニュ宮廷に仕えたが,実は,ブルゴーニュ公フィリップのために制作した作品も,公式に宮廷から注文された作品も現存していない。つまり宮廷画家としての活動の実態が判然としないのである。そこで彼が宮廷でどのような活動を繰り広げたのかを考えるとき,重要なのは宮廷の勘定書にはっきりと記載されている4度の旅行ではないかと思われる。彼は,それらの、旅行で,何のため,どこへ派遣され,何をしたのか,それらは大きな謎である。ここでは,それらの謎に現在考え得る仮説を提示し,さらにそれらの旅が彼の芸術に,そしてまた,フランドルや,旅先の地域の芸術にどのような刺激を与えたのかについて,ささやかな試論を提示したいと考える。それをは,旅が芸術にもたらすものについての一考察でもある。
- 山形大学の論文
- 2004-02-25