有機農業用資材として用いられるいわゆる天然起源植物抽出液製剤「ナースグリーン」から有効成分として検出された合成ピレスロイド
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
いわゆる天然起源植物抽出液製剤「ナースグリーン」は,イエバエの殺虫剤感受性および有機リン剤抵抗性系統に対して顕著な殺虫活性を示した.しかし,ピレスロイド剤抵抗性系統に対する活性は著しく低く本剤の中にピレスロイドが含有されている可能性を暗示した.ナースグリーンの活性成分を分離精製してGC-MSで分析したところ,保持時間(RT)13.83minのピークはサイパーメスリン標準品およびサイパーメスリンを有効成分とするアグロスリン乳剤のピークと一致した.このピークのマススペクトルはサイパーメスリン標準品と同じフラグメンテーションパターンを示し主要フラグメントとしてm/z 209, 181, 163, 127, 91, 77および52が得られた.分子イオンピークは検出されなかったものの,これらの結果は天然起源植物抽出液製剤と称する「ナースグリーン」に合成ピレスロイドであるサイパーメスリンが含まれていることを示した.光学活性カラムを用いたHPLC分析では「ナースグリーン」活性画分はサイパーメスリンの8つのアイソマーから構成されており,すでに報告されている別の天然起源植物抽出液製剤「夢草」から検出された4つのアイソマーとは異なることを示した.これらの結果は「ナースグリーン」に混入されたサイパーメスリンが「夢草」に混入されたサイパーメスリンとは異なることを示唆した.「ナースグリーン」に含まれるサイパーメスリン濃度は1.5%と推定された.
- 千葉大学の論文
- 1998-03-31
著者
関連論文
- 我が国における農薬の消費動向
- 有機農業用資材「ニュームシギエ」の殺虫活性と有効成分
- 有機農業用資材として用いられるいわゆる天然起源植物抽出液製剤「ナースグリーン」から有効成分として検出された合成ピレスロイド
- 有機農業用資材「健草源・地」の除草活性と有効成分