愛知用水事業の経済効果 : 工業用水の便益
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,プロジェクト評価法の一つである残差評価アプローチによって愛知用水における工業用水の経済価値を事後的に評価した.推計結果によると,受水地域における用水の経済価値は,昭和60年固定価格の実質値でみると,年によってバラツキがあるものの,年平均で488億円〜613億円である.計測期間(昭和36年〜昭和62年)の27年間では用水の便益の総計は1兆3,176億円から1兆6,551億円にものぼっている.他の用途である農業用水や上水の経済効果と比較すると年平均(実質)で,農業用水が12億円,上水が157億円であって,それらと比較してみても工業用水の便益がきわめて大きいものであることが確認できる.本来,農業用水の利用を主たる目的とした愛知用水事業であったが,高度経済成長とともに工業部門(特に受水地域に立地する化学,鉄鋼業)が急速に発展することにより,工業用水としての重要性が増していった事実を事後的評価を通じて定量的に裏付けることができた.
- 千葉大学の論文
- 1996-03-29
著者
関連論文
- スリランカ稲作における農家採用技術の地域差
- 戦前期米穀関税と国内米価 : Grangerテストによる因果性の検討
- 都市住宅環境における農地と緑地のアメニティ評価-メッシュ・データを用いたヘドニック法による接近-
- 農業生産における各投入要素のエネルギー原単位及びエネルギー集中度の推計
- 園芸作物の品質評価と経済学的評価に関する研究 : 第2報:園芸作物(メロン)の要求品質と追求品質 : AHPによる消費サイドの分析
- 愛知用水事業の経済効果 : 工業用水の便益
- 炭素排出の産業連関分析 : 炭素税の影響・貿易財の体化炭素量の計測
- 牛乳生産の費用構成・技術の比較分析 : 日本と米国(ニューヨーク州)の比較
- 韓国稲作生産の費用関数分析
- シャドウプライスの計測と国際競争力指標への適用 : 日本の農業と製造業の国際競争力