歴史的市街地における「にわ」の環境条件と居住者の認識構造
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概要
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本研究では,京都市の中心市街地をケーススタディの対象として,「にわ」空間に生成されている環境条件を「にわ」の機能と効用及びそれらを保障する個々の住戸群の集合状態に関する居住者の認識を通じて分析し,以下の知見を得た.「にわ」の機能と効用に関する居住者の認識パターンを認識構造として抽出すると,認識率の高い環境調節機能がその基底部分をなしていることがわかる.これを「にわ」の空間性状を規定する3つの要因と関連づけてみると,実用的機能-狭義の造園空間の効用,自己敷地内で完結する機能-隣接住戸との関係のうえに成立する機能,周辺の物理的空間の形態による影響の有無,という3対の認識パターンが確認される.次に,居住者の集合意識を4つのレベルにおいて検討した結果,それら4つのレベルには相関がみられ,それらは,建て替えによる周辺への影響を相互に認識し合うというかたちに集約されることがわかる.この相互認識は,実際に物理的な空間形態が変化している場合により先鋭的なものとなっている.これが自己の不都合として認識されることは,環境条件の認識構造そのものの変動を意味し,自己の空間構成を改変する動機をあたえるものと推察される.
- 千葉大学の論文
- 1991-03-01
著者
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