飼料作物の再生における貯蔵物質の役割 : I.ソルゴーの刈取り後の分げつ芽伸長に及ぼす貯蔵物質量の影響
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概要
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ソルゴー(cv.ハイブリットソルゴー)を供試して,刈取り時の貯蔵物質を実験的に操作し,再生時の分げつ芽の伸長,分げつ数の変化を調べ,次の結果を明らかにした.1.鉢試験,および圃場試験によって,刈取り時に芽数,芽の高さをそろえた下で刈取り高さを変え,再生を調べた.刈取り直後には刈取り高さの高い貯蔵物質量の多いもので分げつ芽の伸長が遅く,刈取り高さの低いもので速やかである.しばらく経過すると両者の関係が逆転し,貯蔵物質多のものは伸長量大となった.分げつ数では,刈取り直後では前記の傾向は明瞭でなく,後期では分げつ芽の伸長でみられた傾向と同様であった.刈取り前遮光処理を行なったものや刈取り時根を切断したものでは,それぞれのなかでの傾向は全く同様な結果を示したが,刈取り直後の分げつ芽の伸長量は標準区に比べて同一貯蔵物質量でみると著しく低かった.2.芽の高さを変え,芽数を揃えて,再生を比較すると,芽の高さの高いものが,低いものに比べて,刈取り直後において,分げつ芽の伸長量が特に大であった.3.刈取り時に1%のIAAおよびIAA+GAのラノリンペーストを切口へ塗布したところ,無処理<IAA<IAA+GAの順に再生が遅延することが見られ,またそれぞれの処理中の刈取り高さの差異による刈取り直後での上記した影響も相加的に認められた.なお貯蔵物質が少なく,IAA濃度の濃いと思われるものほど枯死株の発生が大であった.4.刈取り高さの異なる切株の地表面近くでの刈取り直後でのオーキシン量を調べ,刈取り高さの高いものは低いものに比べて,その濃度が大であることを示した.5.以上の結果に基づき,貯蔵養分の役割について見ると植物ホルモンの引金的働きの後,貯蔵物質が再生に大きく影響すると言える.
- 千葉大学の論文
- 1977-12-10