車道から見た沿道景観の保全計画に関する研究
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概要
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1)自然地域に道路建設を行う場合,沿道景観の保全をはからなければならないが,保全計画へのアプローチを二つの面から行うことを試みた.2)第1は,動景観の特性と人間工学,景観工学の研究成果をふまえた沿道景観の景観工学的解析,評価の方法である.特に走行に伴う視点の移動と視角や注視地点までの距離などを利用し,景観認識度を基準にした景観保全地域を3段階に区分した.3)第2は,沿道の景観構成を解析,評価し,具体的に保全計画の必要な箇所を導く方法である.解析,評価を行う指標要因を選定し,解析手法と解析データの評価式を策定した.なお,評価値を集計することで,道路景観保全の面から路線の比較検討にも応用が可能である.4)最後に二つの評価結果を総合して,道路景観保全計画を策定することを提案してまとめた.5)本論の方法論を用いて中央高速道路大月〜勝沼間でケーススタディーを行い,具体的な考察を試みその結果を述べた.(1)沿道景観の景観工学的解析では,Zone 1は路肩から21.5m以内,Zone 2は21.5mから116mまで,Zone 3は116mから204mまでであった.また,盛土側での俯瞰景を望む俯角は約8度となり俯瞰景の中心領域以遠を眺望する形となる.(2)沿道景観の解析評価については,評価結果を5段階に区分した.区分B以下区分C,区分D,区分Eになるにしたがって景観保全に対する対策の必要性が高い.(3)上記の二つの結果を総合した結論は,Zone 1ないしはZone 2における区分B以下の区間について具体的な修景計画を実施することが,沿道景観の快適化をはかる上で必要であり,その結果は利用の安全性を高めることにもつながるといえよう.
- 1977-12-10