人工呼吸管理された成人重症呼吸不全症例における一酸化窒素吸入療法の効果に関する検討

概要

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重症急性呼吸不全例20例に対して一酸化窒素(NO)吸入療法を行い,吸入NO濃度,治療効果,副作用および予後に関して検討した。5から20ppm NO濃度でNO吸入を行ったところPaO_2,oxygenation indexは有意に上昇し,PaCO_2,AaDO_2,シャント率は有意な減少を認め,肺循環動態,酸素化能の改善が得られた。体循環動態には有意な変化はみられなかった。また,NO吸入療法施行中にNO吸入が原因と考えられる副作用は認めなかった。NO吸入療法は,急性呼吸促迫症候群(ARDS)の生存期間を延長したが予後の改善はみられなかった。しかし,人工呼吸管理中にNO吸入療法を併用することにより吸入酸素濃度を有意に低下させることが可能であったため,原疾患を改善するまでの維持療法として有用であると考えられた。また,ARDS以外のPostperfusion Syndrome,肺切除後肺水腫および肺挫傷などの重症急性呼吸不全例では予後を改善する可能性があると考えられた。
北里大学の論文
2003-06-30