脳梗塞の障害側と歩行移動機能予後

概要

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CT,またはMRIで長径20mm以上の大きさの病巣が確認できた天幕上脳梗塞患者489名の中から,発症2年後まで経過を追跡できた291例を対象に,歩行・移動機能やADL項目の機能予後が障害側によって異なるかどうか,急性期治療後の退院時および発症2年後の所見を使って検討した。その結果,退院時の歩行・移動機能,2年後の歩行・移動機能,および食事,排泄,入浴,更衣の各項目において,左右大脳半球障害側と予後との有意な関連を認めなかった。対象を年齢65歳末満とそれ以上の2群に層別して,それぞれの群内で同様の比較を行うと,65歳未満群で左大脳半球障害例が2年後の歩行・移動機能で有意に良い予後を示した。右大脳半球障害例で半側無視(+)群と(-)群とを比較すると,退院時の歩行・移動機能が半側無視(+)群で有意に悪い予後を示した。これらの結果から,脳梗塞患者の2年後の機能予後は,年齢の影響は認められるが,左右大脳半球の障害側による差がないと結論された。また,ここで検討されたように,2群間で10%程度の改善率の差を「差がない」として見逃す確率を小さくするためには,1群で1,200例以上必要であり,多施設による共同調査の必要性が課題とされた。
北里大学の論文
1999-12-31