先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)(学会誌第100巻発刊記念企画)
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概要
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甲状腺ホルモンは中枢神経系の発達で重要な役割を果たすことが知られている。先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は甲状腺ホルモンが胎児期には母体由来甲状腺ホルモンで補っても不足する場合や出生後に自己合成で不足する場合,その時期と不足量に応じて神経発達障害が合併症として残ることが知られている。しかしながらマススクリーニングの導入により先天性甲状腺機能低下症は早期診断および早期治療が可能となり,これまで合併症として問題であった知能障害は問題とならない程度まで改善された。知能障害の点で治療上問題となるのは両親と患児のコンプライアンスであることが判った。わが国でもクレチン症のマススクリーニングが昭和54年に導入され,知能障害予防に多大なる寄与を果たしてきた。生命予後は合併奇形が存在しない限り良好であると推定されるものの,死亡統計報告がないことは生命リスク判定の点で生命保険加入判断を困難にしている。
- 2002-12-17