侵襲時用高濃度分岐鎖アミノ酸含有成分栄養剤の開発と有用性 : 特に術後早期経腸栄養における効果について
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概要
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種々の侵襲に伴う異化作用の軽減と経腸栄養の利点を生かすべく,分岐鎖アミノ酸(BCAA)を高濃度とした成分栄養剤を作成した。これを用い,術後早期より経腸栄養を開始し,臓器蛋白,アミノグラム,体蛋白崩壊量,骨格筋肉量,体脂肪,脂質,免疫能を測定し効果の判定のため既存の成分栄養剤と比較検討した。その結果,血漿中のBCAAは高濃度に保たれ,アラニン,グルタミン値も有意に高く推移した。これはglucose alanine cycleの基質としてBCAAが酸化し,糖新生を初めとする糖代謝においても効果的に作用することを示唆するものと言える。また,優れた蛋白節約効果,蛋白合成促進が認められ,血漿総アミノ酸値の変動も少ないことから,BCAAを高濃度にし必須アミノ酸,非必須アミノ酸を十分に投与することにより筋蛋白からの内因性アミノ酸の流出を抑え,外因性アミノ酸がエネルギー,蛋白代謝の需要をより満たし,さらには脂質の保存,免疫能の維持に対しても良好に作用するものと考えられた。
- 1992-12-31
著者
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