Phenol比濁法による胎児肺成熟判定に関する研究
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概要
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Phenolによる肺surfactantの比濁法の測定原理と各種リン脂質の混入物の影響について検討を加えるとともに,他の胎児肺成熟判定法との比較を行い,本法の臨床的診断法としての有用性を検討した。1) Phenolに対し濃度依存性に白濁を生じたlecithin溶液は,濃度の増加に伴い界面活性の増強が認められた。2) lecithinを添加した羊水において,Phenol比濁度は添加したlecithin濃度を変化させることにより直線的に増加を示した。3)羊水中に,sphingomyelin, lysolecithin, phosphatidylglycerol, phosphatidylinositol, phosphatidylserineの添加によりPhenol比濁度は白濁生成阻害を認めた。4)臨床的羊水検体におけるPhenol比濁度は,0.120から2.82と分布したが,0.50以下を示した症例に,RDS 14例,肺低形成2例を認めたことから,Phenol比濁度の胎児肺成熟のcritical predictive valueは0.50以下と考えられた。5) Phenol比濁法は,従来法である羊水中lecithin量測定, L/S比,Shake testの他,最近開発されたLumadex test,PG定性法の胎児肺成熟判定法の診断的信頼度と比べても有用性が高かった。以上のことより,Phenol比濁法は簡易胎児肺成熟判定法として物理的,臨床的に確立した方法と考えられた。
- 北里大学の論文
- 1991-02-28
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