広範大脳白質病変の脳循環動態に関する研究
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概要
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Magnetic Resonance Imaging (MRI)上広範な大脳白質病変(WMLs)を認めた11人の患者を対象とし,Single Photon Emission Computed Tomography (SPECT)法により局所脳血流(rCBF)および局所脳循環自動調節能(Autoregulation)を測定しWMLsの成因および痴呆症状との関連につき検討した。臥位安静時のrCBFは,大脳白質部で低下がみられた。痴呆を伴う症例では前頭葉皮質にも血流低下が認められた。Autoregulationは痴呆のない群では前頭葉白質と前頭葉皮質に障害がみられたが,痴呆を伴う群ではさらに頭頂葉皮質および基底核にも障害がみられた。WMLsの発現および増悪因子として大脳白質の細・小動脈の動脈硬化による慢性の虚血に加え,脳循環自動調節能の障害が重要な役割を果たすと考えられた。痴呆症状のない症例でも立位で前頭葉の血流が低下し痴呆例の脳血流パターンに類似するところから,WMLsは痴呆発現の準備状態にあると考えられた。血圧の変動が病態の進行を早める可能性がある。
- 北里大学の論文
- 1991-02-28