健常者と白血病患者の末梢血リンパ球及び骨髄細胞における染色体のcommon fragile sites
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概要
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染色体転座部位と染色体脆弱部位(fragile sites)の関係を調べるために,健常者17例と白血病患者15例より採取した末梢血リンパ球及び骨髄細胞をもちいて,アフィジコリン誘導性 common fragile sites の頻度と分布を検討した。7例の急性骨髄性白血病(AML)の患者から得た末梢血リンパ球の切断箇所および頻度は3p14(22.0%),16q23(7.3%),7q32(4.3%),Xp22(3.7%),6q26(2.9%)で高値であり,健常者の末梢血リンパ球に比べ4q21〜25(2.1%),7q32,Xp22で頻度が有意に高値で,逆に1p32(0.1%),3p14,6q26,16q23では有意に低値であった。一方,3例の急性リンパ性白血病患者から得た末梢血リンパ球では,健常者に比べ1p22(3.4%)のみが有意に高頻度であった。また,t(8;21)(q22;q22)の核型異常を持つ急性白血病M2(FAB分類)3例では,8q22,8q24での切断頻度が100分裂像中3.2,1.4個であり,他の白血病患者及び健常者に比較し有意に高頻度であった(各々,p<0.001,p<0.01)。骨髄細胞における切断頻度は,健常者より白血病患者で低い傾向があった。一方,t(15;17)の転座以外の核型異常を持つ白血病患者では,末梢血リンパ球における切断頻度が健常者に比較し高値であった。これらの結果は,染色体脆弱性が核型異常の誘導あるいは白血病のなり易さを示唆するのかもしれない。
- 北里大学の論文
- 1988-12-31
著者
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