マウスネフロンセグメントにおけるアンモニア産生能の分布とその特異性
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概要
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哺乳動物腎の各ネフロンセグメントにおけるアンモニア産生機序を明らかにする目的で,マウスを用い正常対照(C)群及び慢性代謝性アシドーシス(A)群について,腎を構成するネフロンセグメントを単離し,L-グルタミン(Gln),L-グルタミン酸(Glu),L-アスパラギン酸(Asp)からのアンモニア産生とその代謝にあずかる酵素活性を測定した。併せてこの代謝に及ぼすプロスタグランジン(PG)の関与も検討した。Glnを基質としたアンモニア産生は,C群では近位尿細管に高く,Aにより,近位尿細管起始部(SI),近位尿細管中間部(S2),遠位尿細管(DT)で有意な増加を示した。GluやAspを基質としたアンモニア産生をC群のS1で比較すると,それぞれGlnの約1/2,約3/4でAによる有意の変動を認めなかった。Glnからのアンモニア産生のAによる増加には,主にリン依存性グルタミネースI(PDG)が関与し,リン非依存性グルタミネース(PIG)の関与は認められなかった。S3でのアンモニア産生は,PG産生抑制薬により増加を示し,PGF_<2α>(100ng/ml)及びPGE_2(1000ng/ml)により有意に抑制され,S3におけるアンモニア産生がPG(特にPGF_<2α>)により調節されることが示された。
- 北里大学の論文
- 1988-08-31