消化器系悪性腫瘍に対するCDDPの有用性の検討 : とくに2経路注入療法について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
消化器系悪性腫瘍21症例に対し,cis-diaminedichloroplatinum II (CDDP)の投与を行った。10例は全身投与(従来法)で,11例は2経路注入療法であった。2経路注入療法は,拮抗剤sodium thiosulfate (STS)の投与経路として,上腸間膜動脈を採用するSM法と,末梢静脈を採用するIV法の2法を試みた。2経路注入療法では1回300mgの超大量投与を行った。Karnofsky癌治療効果判定基準で,0-B以上を有効とすれば,従来法で50%,2経路注入SM法で75%およびIV法で71%であった。特に,1-A以上の著効例を,それぞれ1例,1例および2例に認め,消化器系悪性腫瘍に対しては,CDDP の投与は有用であるものと考えられた。2経路注入療法は従来法に比し,著明な副作用の軽減をみ,特にSM法で顕著であった。しかし,患者に対する侵襲および有用性を総合的に考慮し,今後,栄養血管の選択的カテーテル挿入が可能なものへは,2経路注入IV法,明瞭な限局せる栄養血管のないものへは,従来法が推奨される。
- 北里大学の論文
- 1987-06-30
著者
関連論文
- Sjogren症候群を伴った原発性胆汁性肝硬変症の1男性例
- 胃・食道静脈瘤よりの緊急出血120症例の臨床的検討 : 各種非手術的治療法の評価
- 高アミラーゼ血症を呈した特発性副甲状腺機能低下症の1例
- 甲状腺腫を伴った劇症肝炎の一例(北里大学病院CPC記録)
- 消化器系悪性腫瘍に対するCDDPの有用性の検討 : とくに2経路注入療法について
- 第97回:6年間にわたり腹痛黄疸をくり返えしイレウス症状を呈した1例