ヒト白血病骨髄の微小循環系の電子顕微鏡的観察
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概要
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ヒトの白血病生検骨髄を透過電子顕微鏡を用い血球の髄索から洞内への遊出の状態を明らかにするために,静脈洞の洞内皮の単位周長当たりの pore 数(Pore Index, PI)を用いて調べ,また非白血性白血病の非白血性の成因を知るために骨髄中の静脈洞内,および毛細血管内の細胞分布を検討し,以下の結果を得た。(1)慢性骨髄性白血病(CML)の静脈洞は,対照群に比し直径,周長,洞内腔の断面積が有意に小さかった。(2)急性白血病(AL),CML,対照群で,PIは有核細胞数(NCC)と相関が認められた。血球の洞壁通過には NCC の増加による骨髄髄索内圧の上昇が関与していると考えられた。(3)CML の PI は AL と有意差がないが,静脈洞内の白血球数は後者より有意に多い。したがって,CMLでは pore 1個当りの白血球の通過血球量が増加していることが示された。(4)対照群骨髄において脂肪細胞と接する静脈洞の洞内皮部分の PI は脂肪細胞と接しない静脈洞に比し有意に低かった。脂肪細胞は血球遊出の抑制に関与していると思われる。したがって,(2)-(4)の知見より PI を計測することは,造血状態を把握するのに有用であることが明らかにされた。(5)非白血性白血病においては,白血病細胞の洞壁の通過像が観察され,洞内に白血病細胞が高率に認められた。非自血性の理由として Tavassoli の提唱した骨髄-血液関門による機序は認められないことが示された。
- 北里大学の論文
- 1987-02-28
著者
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