亜硫酸塩およびその関連物質がミトコンドリアの機能におよぼす作用の研究 : 〔II〕亜セレン酸ナトリウム投与によるマウスの発育および肝ミトコンドリアの呼吸調節率の低下
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概要
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亜セレン酸ナトリウムを添加した粉末飼料をマウスに10日間投与し,体重の変化を観察した後屠殺し,亜セレン酸塩投与が肝重量および肝ミトコンドリアの呼吸活性におよぼす影響を検討した。添加した亜セレン酸ナトリウムの濃度は,セレンに換算して0.5,5,10,30,および50ppmであった。1)マウスの体重はセレン0.5,5,10ppm投与群では対照群と殆ど同じ割合で増加したが,30ppm投与群では増加がほぼ停止し,50ppm投与群では著しく減少した。2)肝重量はセレン0.5,5,10ppm投与群では対照群と差はなく,30および50ppm投与群では有意差で減少した。3)肝ミトコンドリアの呼吸調節率はセレン投与群では一般に低下の傾向を示し,とくに30および50ppm投与群では有意の差で低下した。この低下は主として抑制呼吸(state 4呼吸)の増大(開放)が原因となっていた。4)亜セレン酸塩投与による体重,肝重量の減少や肝ミトコンドリアの呼吸調節率の低下はDL-α-トコフェロールを亜セレン酸塩と同時に添加しても予防出来なかったが,亜セレン酸塩の投与を中止すると短時日で回復し,10日以内に対照レベルに達した。5)以上の結果および前報^<14)>のin vitroにおける実験結果とから亜セレン酸塩はミトコンドリアに何等かの機構で軽度の脱共役を起こし,その結果エネルギー代謝の障害をおこしたものと推定される。
- 北里大学の論文
- 1985-02-28
著者
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