移植腎の摘除を余儀なくされた腎移植例"紫斑病性腎炎の再発"

概要

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われわれは,現在16例の小児腎移植症例を経験しているが,今回は原疾患(紫斑病性腎炎)由来の腎炎が移植腎に再発したと思われる症例について報告した。症例は7才女児。5才の時紫斑病性腎炎に罹患,対症的に治療されたが効なく,ネフローゼ型腎炎となり約1年半の経過で腎不全期となり,3回に亘る追跡腎生検組織所見からも非可逆性末期腎炎と診断されたため,腹膜透析治療が開始された。約4か月の透析治療の後,母親の腎を移植した。移植後プレドニンとイムランによる抗免疫療法で拒絶反応もなく経過は良好であったが,2か月目に入って蛋白尿が出現し,次第に移植前と同じくネフローゼ型腎炎の病像となって来た。再度2剤の増量,免疫抑制剤の追加で管理するも,次第に腎機能は低下し始め(Creat. clearance; 10ml/min〜5ml/min)遂に腹膜透析を再開した。しかしその後も腎機能は低下し,乏尿,高血圧,貧血の様相を呈して来たため,移植腎の摘除に踏み切った。現在,週3回の血液透析で治療され,経過は良好で再移植に備え準備中である。移植をはさんで計6回の腎生検組織所見を免疫病理学的に検討し,紫斑病性腎炎の本態について検討を加えた。
北里大学の論文
1978-06-30