肺胸膜疾患におけるAdenosine deaminase活性測定の臨床的意義に関する検討
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概要
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近年,癌性胸膜炎の増加と共に高令発症の結核性胸膜炎に遭遇する機会が多く両疾患の鑑別は臨床上重要な問題である。Adenosine deaminase (以下ADAと略す)欠損と細胞性免疫能低下との間には密接な関連が認められることが明らかとなり,悪性腫瘍も結核も細胞性免疫と大きく関与している点に注目し,両疾患の胸水および胸水中リンパ球ADA活性の動態を検討した。癌性胸膜炎38例の胸水ADA活性値は0.18±0.17u/ml,結核性胸膜炎24例のADA活性値は1.62±0.81u/mlであり担癌生体では有意に細胞性免疫能が低下していることが示唆された。またADA活性測定は両疾患の鑑別診断上極めて有用な指標になり得るものと考えられた。胸水中リンパ球のADA活性値も癌性胸膜炎では低値をとる例が多数認められた。癌細胞と共存する胸水,胸水中リンパ球ADA活性の低値は癌細胞由来の何らかのT cell inhibitorが細胞活性を抑制するためと推定される。
- 北里大学の論文
- 1982-02-28
著者
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