IgA腎症におけるHLA Systemの検討
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概要
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IgA腎症の遺伝的背景を調べる目的で,103例の本症患者においてHLA-A,B抗原を,そのうち80例でDR抗原を同時にタイプした。本症患者におけるDR4の頻度は,対照群に比し有意に高かった。BW35の頻度も高値を示したが,有意差はなかった。本症の重症度とHLA systemとの関連を検討する目的で,全患者を組織学的に軽症群と重症群に分け,両者間で各HLA抗原頻度を比較したところ,DR4の頻度が軽症群で高かったが,有意差はなかった。また,臨床経過の上で安定群と進行群を選び,両者間で各抗原頻度を比較したが,DR4が安定群で有意に高頻度であった。BW35も安定群で高値を示したが,進行群との間に有意差はなかった。DR4,BW35両抗原を同時に持つ群は,他の群に比べ,組織学的に軽症で,臨床的にも安定した経過を辿る症例が有意に多かった。以上の結果から,HLA-DR4,さらにBW35とDR4の組み合わせは軽症のIgA腎症の発症に関与している可能性が示唆された。
- 北里大学の論文
- 1981-12-31
著者
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