我が国の退職給付会計基準について : 前払年金費用の計算構造を中心に
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概要
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近年、日本の企業会計の信頼性が低下したかのように言われることがある。これは、基本的に日本の会計基準が時価ベースを取り入れず、旧態依然たる取得原価主義をベースにしていることが原因であるといわれている。投資家がその企業を適正に評価し、あるいは経営者が適切な経営判断をする場合、投資に係る判断行動の基準としての会計情報がきわめて重要であることはいうまでもない。かかる判断情報として日本は過去10年間で14の意見書等を公表した。そのひとつが日本の退職給付会計基準である。そこでの特色のひとつは、遅延認識である。遅延認識のあり方によっては、経営者の判断の介在によって、適正な期間計算が歪められる可能性があることを指摘するであろう。適正な期間損益と人為的平準化の問題である。さらには、積立不足のオフバランスが法的負債はもとより会計上の負債として計上されるべきであるということが指摘されるであろう。米国基準の優位性は、最小負債を認識するための費用測定とその規定にあると思われる。予測給付債務(予測将来給与)の使用を要求せずに、累積給付債務(現在給与)を使って、負債を過小に見積もったかもしれない。しかし、FASBがこの困難な問題を回避しなかったことは、称賛に値するのである。
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