中国映画史IV : 中国初の長篇劇映画の三作品
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概要
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前回の芸術学部紀要第38号で「上海・商務印書館覚書-その成立と映画事業との関係-」において、同館が中国映画産業史に如何に革新的役割と影響を果したかを探った。本論はその商務印書館映画部が一九二六年に国光映画会社に改組し、翌'27年に閉鎖したのを受けて、その前後台頭してきた独立系映画会社、就中、特筆すべき3社とそこで製作された個々の作品傾向について検討するものである。商務印書館映画部は確かに多種多様にわたる映画作品を製作し、中国映画史上に極めて多大な役割りと影響を与えたことは言うまでもない。映画に対する大衆の理解が深まるにつれ、上海中心に独立系映画会社を設立する氣運が強まった。特に一九二〇年以降、中国で最初の長篇ドラマ作品が上海で製作された。中国影戯研究社の「閻端生」、上海影戯公司の「海誓」、新亜影片公司による「紅粉〓髏」(別名「十姉妹」) の三社が製作したそれらの作品は別名 "中国初の三代長篇劇映画" と呼ばれている。これら三社と作品について検討しつつ、当時の社会背景とともに映画界の状況をも検討する。
- 2004-07-30