産業空洞化抄論 : 空洞化発生の要因と対応策を中心に
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概要
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グローバル化の進展は, 企業行動としては海外直接投資の増大に典型化する。特に, 日本企業にとっては, 国際的な競争優位を急激に失い国内市場が成熟化する中で新しい成長戦略の選択と経営資源を集中して投下する意思決定は, 当然拠点を海外に求めることに向かう。経営戦略論や経営学の説く基本的な論拠では, 企業の投資の結果として得られる業績を評価の最大のファクターとみる。しかし, 経営環境が国内生産の競争優位性を阻喪し, 生産拠点の海外シフトを誘導するにしても, 無策のまま国内の生産拠点の縮小, 撤退を放置していいものか。コスト優位の要因を失い, 低コスト国へとシフトしている企業が, 海外拠点でどこまで将来にわたって安定的な経営の果実を享受できるのか。この企業対応に, 国内からのシフトがやや安穏に流れているきらいがあることを指摘する日本企業の経営者も少なくない。いわゆる空洞化現象を結果的に招く企業の行動が, 現地を過大評価し国内での経営努力のあり方にある種の安穏さ, 社会責任の希薄さがないとはいえない。戦略的な評価と社会学なり経済学からする視角との乖離は, やがてはミクロの個別企業にも反映していく。急速に進展している海外シフトにどんな問題が潜み, 国内をどう位置づけるか。こうした空洞化対策は, 経営論としても掘り下げ, 追究することこそ日本企業の経営にとっても, 自らのテーマであろう。現状の分析から企業の対応に至る展望を素描する。
- 2004-03-18
著者
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