青年期の自己表明に関連する心理的要因についての探索的検討 : 半構造化面接を用いて
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概要
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青年期の適応をめぐる問題の中で大きな位置を占めるものに友人関係がある。友人に対し自分の意見をはっきり言えないことから, あるいは逆に自分の意見を一方的に主張してしまうことから, 結果的に適切な友人関係を持てなかったり, 友人との関係に悩みを持つ者も多い。友人関係の中で自分の気持ちや考えを率直に表明しあうことは, 自分らしさを求める基本的な欲求であり, また相互理解のための基本となる。こうした自己表明のやりとりの能力の獲得は青年期の重要な発達課題の一つと言えるが, その心理的背景について検討されたものはみられない。青年にとってどのような感情や考えが友人との率直なやりとりを支える, もしくは妨げる要因となっているのであろうか。本稿ではその手がかりを得るために, 面接調査を用いて探索的な検討を行った。友人関係の中での自己表現のあり方を先行研究 (柴橋, 2001) に基づき, 「自己表明」と「他者の表明を望む気持ち」の2つの側面から捉えて4つに類型化し, 各類型に属する中学・高校生16名を対象に半構造化面接を行い, 各被験者の特徴, および, 各類型の特徴を分析した。4類型の特徴の比較から, 次の5つの要因に違いがみられ, これらが自己表現のあり方と関連している可能性が見いだされた。(1) 自己表明することに対しての価値感, (2) 自己表明を受けとめてもらえた体験と友人への信頼感, (3) 他者の気持ちへの配慮や内省的な視点, (4) 熟慮性や攻撃性, (5) 言語化することへの自信。本調査の結果から, スキルの問題や性格特性だけでなく, 自己表明することへの価値感やこれまでの体験, 内省的な視点などが大きな影響を及ぼしていることが示唆された。この点は, 青年期の自己表現援助のあり方において十分考慮すべきことと言える。ただし, 本研究は探索的なものであり, 今後さらに, 多くの被験者を対象に実証的な検討を重ね, 心理的要因と自己表明との関連を明らかにしていく必要がある。
- 2004-03-15
著者
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