中国の高齢化と養老保障問題に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では、福祉先進国日本の社会福祉制度・政策、とりわけ在宅福祉サービスの発展過程を踏まえながら、中国の高齢化社会初期における高齢者の問題、地域社会の変容、および特徴について分析した。それらを通して、中国の高齢者養老保障を発展させるには、日本のような在宅福祉制度の整備と地域福祉を中心に据えた考え方が不可欠であることを明らかにした。また、現在の中国の養老保障制度における改革の動向をみると、経済的な扶養を最も重要な研究課題として位置づけている。そして、高齢者の養老保障制度は、原則として「社会・家庭・個人共同扶養責任」の考え方である。しかし、近年、少子・高齢化の進展による家族形態の変化は、家族の扶養機能の縮小を引き起こし、高齢者に対する家族の生活保障は危機的状態におかれていることがわかった。更に、現代化・都市化・核家族化の激増により、1人暮らし高齢者や高齢者夫婦のみ世帯が急速に増え、加齢に伴う要介護問題も顕在化し、高齢者が在宅で安心した日常生活を営み続けることは困難となってきた。そのため、地域の中でノーマリゼーションの考え方が具現化され、高齢者が質の高い自立生活を営むことができるようにするためには、「社区(コミュニティ)福利サービス」の展開が非常に重要になっていることが明らかになった。
- 2004-01-31