韓国の経済危機におけるIMF管理体制と金融部門の構造改革
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概要
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韓国は1997年12月に前代未聞の経済的危機に直面していた。30余年間のいわゆる政府主導型経済に終止符が打たれたといえるものであった。しかし, 国民と政府があわせて危機を乗り越える多くの努力をした結果, 韓国は99年あたりから「V字回復」見せた。そして2001年8月にIMF (国際通貨基金) からの借入金を全額償還した。韓国の経済危機は, 今まで直さなかった韓国の構造問題を直す機会となった。政府の積極的な改革への意志と危機から抜け出すためには, 抜本的な改革なしには出来ないという国民的合意も得たからこそ, その意味は大きいといえよう。しかしその反面, 危機から5年が経った現在, その構造改革が「未完成」であるという見方もあり, 批判の声も少なくないのが現状である。そして, 現在はやや落ち気味のある経済的状況ともいえるものの, 危機的な要素はないという見方が多い。こうして, 韓国が危機から回復へと転換した原因は構造調整ないしは構造改革にあったと言っても過言ではない。30余年間持続的に成長はしたが, 成長一辺度の成長志向主義は多くの問題点をその内部に持っていた。その中でも特に, 金融部門における問題が多く存在していた。官治金融とも呼ばれる韓国の金融部門は, 一言で政府が金融を支配する形であった。したがって, 危機をもたらした原因の治療には徹底的にメスを入れる必要が当然あった。振りかえて見ると, 1990年代に入って, 資本の自由化の進展とともに民主化を向けてより一層進みつつあった韓国にとっては, 1997年の韓国の経済危機は多くの教訓と反省を残したと言える。つまり, 過去を見直し, 新しい時代へとの再出発のきっかけになる一大事件として受け入れたい。
- 鹿児島国際大学の論文
- 2004-03-31
著者
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