ミシェル・レリス著『ゲームの規則』構想の思想的背景 : シェリングの芸術哲学に照らし合わせて(文学編)
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概要
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レリス作品における「芸術創造によるコミュニケーション」についてはこれまでの論文において詳しく論じてきたが、本論では彼が1941年に『日記』の中で言及している「主体と客体との一致の場としての芸術作品というシェリングの説」に着目し、レリスがシェリングの著書『超越的観念論体系』から何を読み取ったのかを明らかにすることで、この思想が『ゲームの規則』構想の段階でどのような影響を及ぼしたのかを考察する。レリスはすでに1932年に『幻のアフリカ』の中で「極限まで押し進められた主観性を通して客観性に到達する」と述べているが、この直感的な判断から出発しシェリングの芸術哲学やブルーストの『失われた時を求めて』に触れたレリスが、文学作品において主観的に自己について書くことで「私」という特殊(particulier)が普遍(universel)の次元に達することが可能であると確信するに至るまでを、彼の友人ジャコメッティやベーコンといった芸術家の思想との接点も交えて明らかにする。
- 2000-03-31
著者
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