異言語教育における母語の役割と位置 : 言語心理学的観点より(2)(言語編)
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概要
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学習言語でのコミュニケーション活動を学習者に首尾よく習得させる上で、母語の位置と役割をいかにとらえていけばよいか、異言語と母語による発話形成プロセスの言語心理学的観点からの対照分析が必要なことを前論文で提示した。それをうけて、当論文ではまず、発話形成プロセスの操作メカニズムの各段階を詳細に検討し、各言語に特有な操作メカニズムが存在する一方で、各言語共通の操作メカニズムというものも観察できることを明らかにする。各言語に特有な操作メカニズムは、異言語学習の際には当然新たに習得することが必要となるが、一方、各言語共通の操作メカニズムについては、さらに、母語の操作メカニズムの異言語への完全な転移という形での移行が可能なものと、母語の操作メカニズムをベースとして、異言語での発話の際にその矯正過程が必要なものとの2つに分けることが出来る。すなわち、この各言語共通の操作メカニズムというものの転移、矯正ということを有効に活用することが、異言語学習を効率化する上できわめて重要な点となるのである。特に、その矯正過程を学習過程にいかに取り入れるかは、異言語学習の成否を分ける点として注目されなければならないだろう。そしてその矯正過程をスムーズに行なう為にこそ、異言語と母語による発話形成プロセスの操作メカニズムの言語心理学的観点からの対照分析を行ない、その結果明らかになった異同点を学習者に認識させることが必要になってくるのである。当論文の後半部では、以上の論点を証明する為に、上で見た発話操作メカニズムの対照分析をベースにしたロシア語動詞の語結合の実験学習の具体例を紹介する。
- 大阪外国語大学の論文
- 1990-12-15
著者
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