南洋群島における日本植民都市の都市構造に関する研究 : (その2)パラオ諸島コロール
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概要
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日本統治下ミクロネシア(旧南洋群島)の首都であるパラオ・コロールは、1930年代後半に真珠採貝業や軍備等による経済的ブームによって大量の日本人が流入し、1940年代初めにはサイパンのガラパンと並ぶ規模(1万5千人弱 )の都市となった。この論文は、文献、統計、資料、写真、地図、現地調査及び聞き取りに基づき、戦前のコロールの都市構造及び都市居住の特質を明らかにしたものである。植民都市としてのコロールは、北マリアナ諸島の諸都市と同様、計画的につくられた官舎(社宅)街、日本人の日常生活を支える商店街、多数の料亭がひしめき合う歓楽街の3つの主要素から構成されていた。これらの要素は各々異なる社会・経済的特質を備え、また既存の集落との空間的対応関係も異なっていた。さらに、コロール独自の特質は、狭小な島という立地条件により非常にリニアな形状の都市が形成されたことである。その結果、並木のあるメインストリート沿いに南洋庁等の近代建築が立ち並ぶ官舎街の西コロールと商店街である東コロール、東コロールにおけるメインストリート沿いの商業的都市景観と背後の自然発生的な密集市街地という二つの強い対比的構図が居住者・訪問者に強い印象を与えることとなった。しかし、舞台装置のように簡便につくられた都市景観は日本人の南洋の夢の終焉とともに簡単に取り壊され、居住者には各自の都市経験に基づく断片的なイメージだけが残されたのである。
- 2002-12-30
著者
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