南洋群島における日本植民都市の都市構造に関する研究 : (その1)北マリアナ諸島・ガラパン, チャランカノア及びテニアン
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概要
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日本統治下ミクロネシア(旧南洋群島)では10万人近い大量の日本人が移民し糖業をはじめとする各種産業に従事した。特に北マリアナ諸島には最も人口が集中し、地域の中心的都市が形成されたが、第二次世界大戦時に破壊され、さらに人口の大半を占めた日本人が強制送還となったため、戦前の都市の様子は断片的にしか明らかにされていなかった。この論文は、ガラパン、チャランカノア(以上サイパン島)及びテニアン(テニアン島)の3つの日本植民都市の都市構造を航空写真及び聞き取りを基に地図で再現し、その特性を分析したものである。これらの都市の主要な構成要素は、以下の3つである。第一は官舎街・社宅等の近代を象徴した住宅地で、各種の近代的施設を揃え、植民地国家としての先進性を体現する「非日常的世界」を形成していた。第二は日本人の日常生活を支える商店街であり、デパートから露天商まで無数の小売店がひしめき合っていた。零細な店が多く、当地の産業同様に労働集約型であった。第三の歓楽街は、単なる社交や娯楽の場ではなく、ビジネス上の重要な意思決定がなされる場であり、日本人社会にとって必須の構成要素であった。その他の漁民街や郊外部等は、各島の条件によって変化した。この結果、上層から下層までの幅広い社会階層の日本人が住み着き、社会・経済的階層による棲み分けが行われた。内地出身の日本人の役人・会社員がトップにあり、その下に多数の沖縄出身者、少数の島民が位置づけられていた。
- 2002-06-30
著者
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