肝特異的STAT3欠損マウスの作成とその糖代謝異常の解析
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概要
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Signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3) は刺激依存性に活性化される転写調節印紙であり, 糖代謝に影響を及ぼす種々のサイトカインの作用の重要なメディエーターであるとともに, インスリン作用にも関与する可能性が示唆される。本研究では Cre-Loxp システムを用いて肝特異的STAT3欠損マウスを作成し, その代謝状態を解析した。肝特異的STAT3欠損マウスでは肝の重量や組織学的異常はなかったが, 対照に比して約10%の体重増加を呈し, 脂肪組織重量の有意な増加を認めた。肝特異的STAT3欠損マウスでの血糖値は対照と差がなかったが, インスリン値の上昇とインスリン負荷試験による血糖降下反応の低下が認められ, インスリン抵抗性が誘導された。高脂肪食飼育下では, 肝特異的STAT3欠損マウスの高インスリン血症は増強し, 20週間の高脂肪食飼育により対照と比して随時血糖の有意な上昇を示した。以上の結果から肝臓におけるSTAT3は糖代謝恒常性の維持に重要な機能を果たすことが示唆された。
- 2002-03-29