ウシ関節軟骨細胞の一酸化窒素およびプロスタグランディンE_2産生に及ぼすインターロイキン-4の影響
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概要
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Interleukin-4 (IL-4) はヒト単球に作用しIL-1やIL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制する抗炎症作用を有するサイトカインであるが、関節軟骨細胞に作用してストロメリシン (MMP-3) の産生を抑制することから関節軟骨破壊に対して防御的に作用する可能性が報告されている。近年、IL-1αなどの炎症性サイトカインの刺激により軟骨細胞から産生される一酸化窒素 (Nitric oxide : NO) やプロスタグランディンE_2 (PGE_2) が炎症下における軟骨破壊に重要な役割を演じていることが報告されているが、これらの炎症メディエーター産生に対するIL-4の作用は明かでない。そこで培養関節軟骨細胞を用いて、軟骨細胞のNOおよびPGE_2産生に及ぼすIL-4の影響を検討した。ウシ関節軟骨細胞に100U/mlのIL-1αを添加し48時間培養すると、関節軟骨細胞のNOおよびPGE2産生はともに増強していた。さらにこの培養系にIL-4を添加したところ、100ng/mlのIL-4によりNO産生は抑制された。またRT-PCRを用いた検討から、このIL-1αおよびIL-4によるNO産生は誘導型NO産生酵素 (iNOS)mRNAの転写レベルで調節されていることが明かとなった。一方、IL-4により関節軟骨細胞のIL-1α誘導PGE_2産生は相乗的に増加していたが、内因性NOの産生抑制によりPGE2産生が促進されたことから、IL-4同時添加によるPGE2産生増強はIL-4によるNO産生抑制の結果生じたものと考えられた。以上より、IL-4は炎症下ではIL-1などの炎症刺激による関節軟骨細胞からのNOやPGE_2産生を調節することにより関節軟骨の破壊を調節している可能性が大きい。
- 2001-03-31
著者
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