小学生における不安・ストレスに関する研究 : 学校精神保健活動の一環としての不安・ストレスに関するアンケート調査結果の分析
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概要
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小学生がどのような不安・ストレスを抱いているか知る目的で平成7年9月に西宮市において質問紙表によるアンケート調査を行った。また, この不安・ストレスに対する環境要因の及ぼしている作用を知るために, 同市内の阪神大震災の被災地と非被災地間での不安・ストレスの比較検討を行った。この不安・ストレスの量的な分布を男女別, 学年別, 被災地, 非被災地別に比較検討したが有意差は見られなかった。低学年では不安・ストレススコアで低値を示した生徒が多かったのに対し, 3年生以上では17点のスコアを示す生徒が最頻であった。また各項目で〇をつけた生徒がどれくらいいるかを示す項目別頻度についても同様に差異は見られなかった。被災地, 非被災地とも低学年では身体的不安, 親が自分のことを怒っていないかなどの不安を示す項目が上位となり, 高学年では他者との比較, 成績や将来への不安を示す項目や, 禁止された事をやった後悔の項目が上位となった。男子では将来や勉学への不安が高頻度だったが, 女子では周囲からの評価や暗やみや夜への不安が高頻度だった。高不安・ストレススコアを示す生徒 (高不安・ストレス群) については, 男女とも低学年では「人に言えない, 怖い事が沢山ある」が高頻度だった。これに対して3, 4年生男子では傷つき易さが, 女子では暗やみへの不安が高頻度であった。5, 6年生では男女とも将来や他者からの評価への不安が高頻度であった。各項目間の関連性を調べるため項目のクラスター分析を行った。男女とも低学年では身体症状に相当する項目がグループを作り, 高学年になるとより他者との関係に関する項目が優勢的にグループを形成していた。西宮市における小学生の不安・ストレスはその量, 種類とも, 被災地, 非被災地間で大きな差が認められなかったことから, この地域での小学生の不安・ストレスには大震災という環境要因は重要な規定要因ではなかったと結論した。
- 神戸大学の論文
著者
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